かつて日本育英会の奨学金は、教員になると全額免除される特典があり、誰でも早期に繰上返済すると金額に応じて一定の利率で還付金が得られました。

その日本育英会の第一種奨学金(無利子タイプ)の貸与を受け、大学の学費はすべて自分で支払いました。正確には、母親は、先に合格した私立大学1校と、入学した国立大学の入学金、入学と同時納入する1学年の前期分、通学定期代だけは出してくれました。大学2年時からはこづかいもなくなり、バイトに一層時間を割くようになりました。思い返すともったいなかったと思います。

父は、高校3年生の秋に定年退職しており、手元に多額の退職金はあったものの老後費用として確保するため、学費を出せずにすまないと謝り、この家を買うだけで精一杯だったと、若き日の話を何度もしてくれました。

国立大には授業料免除制度もあった

本題に戻ります。この状況を嘆いていたところ、同じ学部の人から、親が年金生活者なら授業料免除が認められるはず、という助言を受け、4年生の進級時に初めて申請したところ、半額免除になりました。当時の国立大学の学費は年間48万円。免除分24万円のおかげで就職活動時にバイトをせずに済み、交通費も気にせず、たくさんエントリーできました。そのおかげで、超氷河期に、ブラックとはいえ新卒で就職でき、キャリアをスタートできたので、本当に感謝しています。

なお、父の年金は当初、特別加算があり、もし先に免除制度を知り、2年・3年時に申請しても通らなかったと思われます。タイミング的にパーフェクトでした。

父のアドバイスを受け、わずか4年で全額繰上返済

就職から4年後の平成18年(2006年)の秋、父が貯金があるなら、奨学金を全額繰上返済したほうがいいとアドバイスを受けました。たしかに貯金はあったものの、金額が多かったので躊躇しました。

しかし、もともと還付金目当てで奨学金を借りさせたといい、調べたところ、確かにトクなので手続きを行いました。

◇奨学金総額(借入額):168万円(オリジナル通知未確認)
◇月々の返済額:1万1538円
◇繰上返済額:122万3100円
◇還付金:12万2310円(繰上返済額の1割、オリジナル通知未確認)

繰上げ返済額の通知

約120万円を振り込み、12月27日に引き落とされました。その後、約12万円還付がありました。授業料免除と合わせ、何と30万も普通に支払うより得してしまったのです。

制度変更のため、いま(新規借入者)は奨学金の還付金制度はありません。しかし、この経験は、正直者はバカを見ると気づき、保険やマネーがらみの情報に興味を持った最初のきっかけとなりました。