二度ほどお話して、話が決まらなかったものの、一番親身だったハウスメーカー兼地場不動産会社の担当の方、坂田さんのお言葉です。

「家は奥さんと子どものもの」

なぜ、ストレスがたまる一方なのか? 配偶者は家は自分のもとだと思い込んでいるからです。子どものためとすら考えていません。私は9割譲歩しているのです。配偶者は1ミリたりとも譲歩していません。

直前で取りやめた新居の設備仕様のうち、キッチンの「浄水器」浴室の「浴室洗濯乾燥機」は配偶者の要望を反映しただけです。私は欲しかった。引き下がった理由は、浄水器の代わりにウォーターサーバー、浴室洗濯乾燥機の代わりに乾燥機付きドラム式洗濯機・縦型洗濯乾燥機・室内干し専用乾燥機のいずれかを導入すれば代替できると考えたからです。

洗濯機のパネル部分が故障してしまい、引越し前に買い替えたいと主張しているにも関わらず、配偶者は決断しません。理由は「引っ越し中にダメージを受けそうだ」と懸念するからです。

家は奥さんのものであり、洗濯機と冷蔵庫もまた、奥さんのものです。

ちなみに今の洗濯機は購入からまだ3年経っていません。上位機種が欲しいと主張したにも関わらず、最安クラスで構わないといい、合わないサイズで容量オーバーで洗濯するため早期に故障したと考えられます。

1対1の訴えより「世間」を動かしたほうが早い

年末時点でまだ外構工事は決まっていません。ずっとマンション住まいで戸建居住経験のない私の意見は何一つ聞かないと主張するため、金は一切出さぬと返しました。

しかし、住宅ローン控除の仕組みを熟知している身としては、所得税・住民税の納税額から逆算して上限いっぱいまで借りて10年後に一括、せめて半分くらいは繰上げ返済したほうが儲かるため、ここは引き下がれません。

税制の歪みが発生している間は、借金して買ったほうが節税でき、手取り収入はほとんど変わらない。つまり賃貸より購入のほうが得。紛れもない事実です。付け加えると、家購入後に借金を残して死ぬとさらに子どもが助かるという……。

しかも幸いなことに、今年(2019年)は自分も配偶者も年収が上がってしまい、年収負担率はさらに下がります。本来の予算は高く、全てにおいて妙にケチる必要はなく、購入検討にかける時間と、関わるストレスを減らすべきなのです。

家づくり・家購入とは、第一に、低金利下で手堅く金融資産を守るための不動産投資であり、男性諸氏にあっては奥さんのため、働く女性にあっては自分の夢を叶えるため/ストレスを少しでも減らすための投資です。

家づくりや個人的な経験を生かした、配偶者が目にすることない、世の中に向けたパブリックな提言です。もはや1対1で訴えるより、仕事を通じて、社会全体の意識改革を目指したほうが早い。

目指すべき将来は、住まいライターではなく、「経済ジャーナリスト」「シェアリングと所有の比較研究者」かもしれないと感じる年末でした。来年こそ、もっと有益でわかりやすい情報をできるだけ量産して発信していきます。